2021年6月11日

6月18日『ユーロマンガ6号』配信開始!新連載 「ニューク」をご紹介!

いよいよ6月18日にユーロマンガ5号を配信開始します!そのユーロマンガ6号から、「ニューク」の連載が始まります! フランスの偉大なSF小説作家ステファン・ウルの小説が原作のこのバンドデシネは、2012から2015年にかけてフランスで出版されました。 そしてこの作品のバンド・デシネ化を手掛けたのが、現代バンド・デシネ作家の巨匠オリヴィエ・ヴァティーヌです。 そんな彼の作品をついにユーロマンガから日本の皆様にお届けできることになり、とてもうれしく思います。

環境問題を示唆する冒険物語 
20世紀の終わり、人間が引き起こした核災害によって、地球は荒涼の地へと変わり果てました。大陸は放射能でひどく汚染されて海は完全に干上がり、生きる場所を失った人類は火星への移住を余儀なくされたのです。それから数百年の月日が流れ、文明が退化した地球では生き残った人類が原始的な生活を営んでいました。いくつかの部族が狩りをしながら生活しており、そのうちトズが率いる部族の中に一人の黒人の少年がいました。しかし少年は、長老をはじめ部族の全員から目の敵にされていました。
部族の長老からひどく敵視されていた彼は、過去の文明の廃墟や奇妙な装置、遺跡などが未だ残る神様の街「ニューク」へと向かうことを決意します。

           

フランスの偉大なSF小説作家ステファン・ウル
「ニューク」はもともと、1957年にステファン・ウルが書いたSF小説が原作となっています。1920年にフランスで生まれ医者をしていた彼は、1950年代に様々なSF小説を世に送り出し、幅広い年代のフランスのクリエイターたちに影響を与えました。オリヴィエ・ヴァティーヌももちろんその一人。他にも70年代を代表するバンド・デシネ作家のメビウス、ドリュイエ、メジエールらが彼の作品に多大な影響を受けました。特にメビウスは、ステファン・ウルの長編小説「ペルディド星の孤児」を「時の支配者」という題名で1982年にアニメ化しました。他にもステファンの小説「オム族がいっぱい」が「ファンタスティック・プラネット」という題名で1973年にアニメ化されています。

        

現代バンド・デシネ作家の巨匠オリヴィエ・ヴァティーヌ
オリヴィエ・ヴァティーヌは日本ではあまり知られていませんが、彼は90年代のバンド・デシネの発展に大きく貢献しました。バンド・デシネ作家として彼の名が知られるようになったきっかけは、代表作「アクアブルー」。スターウォーズとアバターの間に位置するスペースオペラの作品です。このシリーズは1988年にバンド・デシネの最大手出版社デルクールから出版され、大きな成功を収めました。オリヴィエの作風は、当時の他の作家とは対照的でした。アメコミやアメリカ映画(特にスターウォーズ)、そして日本の漫画やアニメ、ゲームなどの影響を強く受けており、それが彼の作風の中に見て取れます。オリヴィエ・ヴァティーヌは世界に影響を与えた最も初期のバンド・デシネ作家の一人であり、キャラクターを描く際の彼の繊細で温かみのある色使いやダイナミックなコマ割りがその特徴です。
例えば1993年に出版された「アクアプルー」4巻の表紙に描かれているロボットは、当時の日本のロボットとよく似ています。ユーロマンガ編集長である私を含め、多くの人々にとって当時この表紙は衝撃でした。その後オリヴィエ・ヴァティーヌはアメリカに向けて人気シリーズ「スターウォーズ 帝国の後継者」を書き上げ、スペースオペラ界において彼の卓越した絵の腕前が認められました。

  

ヴァティーヌ・タッチが光るSF小説の名作「ニューク」
そして西部ものやファンタジー系の物語をいくつか書いたのち、オリヴィエ・ヴァティーヌはさらなる芸術的進化を遂げて再びスペースオペラの世界へと戻ってきました。その時の作品が「ニューク」です。以前よりも、よりゆとりを持たせたページ組みで書かれており、ページいっぱいに描かれた荒野と都会の風景との対比が素晴らしい今作品。キャラクターの感情を見事に表現する彼の作画も見どころです。そんな彼の作画の最大の魅力は、なんといっても絵と空間との絶妙なバランス。これも彼の巧みな色使いや陰の描き方があってこそ成し得る技です。メビウスやフランク・ミラー、マイク・ミグノラらと同様、「ヴァチンヌ・タッチ」と称される彼の独特な作画技法のおかげで、彼の作品は一目で見分けがつきます。現代的かつ斬新な作画技法を用いて、オリヴィエは半世紀も前に書かれた小説のバンド・デシネ化を見事に成功させたのです。

2008年の設立以来、ユーロマンガはずっと日本の皆様にオリヴィエ・ヴァティーヌの作品をご紹介したいと思っていました。少し時間がかかりましたが、ついにユーロマンガ6号から彼の作品「ニューク」を皆様にお届けできて、とてもうれしく思います。どうぞお楽しみに!

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